蕗

春の暖かさが増してくると、日本の道端や田んぼの畦道などで、鮮やかな緑色の蕗の葉をよく見かけるようになります。太陽の光をいっぱいに浴びて、力強く生い茂る姿は、春の訪れを知らせてくれる、私たちにとって大変馴染み深い植物です。大きく広がった蕗の葉は、まるで春の陽気を遮る傘のようです。その葉の影に隠れるように、ひっそりと咲くのが蕗の花です。淡いクリーム色の小花がいくつも集まって、ひっそりと咲く姿は、あまり目立ちません。しかし、よく見ると、その控えめな姿は、どこか懐かしさを感じさせ、私たちの心を和ませてくれます。春の風景に溶け込むように咲く蕗の花は、その控えめな美しさの中に、力強い生命力を感じさせます。普段は気にも留めないような道端にも、春の息吹を感じさせてくれる植物が存在することに、改めて気づかされます。