思案

繊細

秋の七草、萩に込められた想い

夏の暑さが和らぎ、空高く澄み渡る空気に秋の気配を感じ始める頃、野山を彩るように咲き乱る花があります。それは、万葉の時代から人々に愛され、秋の七草の一つにも数えられる「萩」です。紅紫色や白色の小さな蝶形の花が無数に咲き乱れる様は、まるで秋の野に広がる美しい錦絵のようです。風にそよそよと揺れる様は、どこか儚げで、過ぎ行く夏の日の面影を偲ばせるかのようです。古来より、日本人は、この萩の控えめながらも美しい姿に、秋の訪れを感じ、物悲しさと共に、どこか心惹かれる思いを抱いてきました。「萩」と書いて「草かんむり」に「秋」と書くように、まさに萩の花は、秋の到来を告げる象徴と言えるでしょう。
その他

秋の七草、ヤマハギの花言葉

秋の七草の一つに数えられ、古くから日本人に愛されてきたヤマハギ。山野に自然と生え、秋になると枝いっぱいに赤紫色の小さな花を房状に咲かせます。その可愛らしい姿は、どこか懐かしさを覚えさせ、穏やかな気持ちにさせてくれます。ヤマハギは、マメ科の落葉低木で、日本各地の山野に自生しています。高さは2メートルほどになり、枝は細くしなやかに垂れ下がります。葉は3枚の小葉からなり、秋になると黄色く紅葉します。花は7月から10月にかけて咲き、赤紫色で蝶のような形をしています。万葉集にも歌が詠まれるなど、古くから日本人に親しまれてきたヤマハギ。その花言葉は「思案」「内気」「柔軟性」など。風に揺れる控えめな花姿が、物思いに耽る様子や、奥ゆかしい雰囲気を連想させます。また、しなやかにしなる枝は、どんな環境にも適応できる柔軟さを表しているかのようです。秋の野山で、ひっそりと咲くヤマハギの姿は、自然の力強さ、そして美しさを感じさせてくれます。忙しい日常を忘れ、穏やかな時間を過ごさせてくれる、そんな魅力にあふれた花です。