
弟切草:その名の由来と花言葉
物悲しい響きを持つ「弟切草」という花をご存知でしょうか。その名前の由来は、平安時代にまで遡る悲しい伝説に彩られています。当時、鷹匠の兄弟がいました。兄は鷹の傷を治す薬草を秘密裏に所持していましたが、心優しい弟はその秘密を漏らしてしまいます。これが兄の逆鱗に触れ、怒り狂った兄は刀を振るい、あろうことか実の弟を斬り殺してしまったのです。その際に傷口から流れ出た血を浴びた薬草こそが、後世に「弟切草」と呼ばれるようになったと伝えられています。夏の盛りに咲くこの花は、小さく可憐な姿をしていますが、その花言葉は「怨恨」や「秘密」といった、どこか陰のある言葉が並びます。そして、まるで事件の記憶を留めるかのように、弟切草の茎を折ると、中から血のような赤い汁が滲み出てきます。 この鮮烈な赤色は、伝説と相まって、見る人の心に哀愁を漂わせずにはいられません。