勿忘草

恋愛

勿忘草:忘れられない思い出をあなたに

勿忘草という名前は、遠い昔のドイツで生まれた、悲しい恋の物語に由来しています。舞台はドナウ川のほとり。川のきらめきと緑がまぶしい、ある晴れた日のことでした。騎士ルドルフは、恋人であるベルタと共に、川のほとりをゆっくりと散策していました。愛を語り合う二人の幸せな時間。ベルタはふと、水面に咲く可憐な青い花を見つけました。「まぁ、なんて可愛らしい花でしょう!ルドルフ、お願い。」ベルタにせがまれ、ルドルフは岸辺に咲くその花を取ろうと、手を伸ばしました。しかし、あろうことか、ルドルフの身体はバランスを崩し、そのまま急流に落ちてしまったのです。「ああ、ベルタ!ベル…!」ルドルフは必死にベルタの名を叫びますが、激しく流れる水は、あっという間に彼を飲み込んでいきます。それでもルドルフは諦めませんでした。最後の力を振り絞り、水面から顔を出した彼は、摘み取った花を岸辺のベルタに向かって投げました。「ベルタ、私のこと、忘れないでくれ…!」ルドルフの声が水面に響いた後、彼の姿は二度と水面に浮かび上がることはありませんでした。悲しみに暮れるベルタは、ルドルフの形見であるその花を髪に飾り、決して彼を忘れないと誓いました。この悲しい物語から、その花は「勿忘草」と呼ばれるようになり、「私を忘れないで」という花言葉を持つようになったのです。