
9月28日の誕生花:フジバカマ
秋の深まりが感じられる頃になると、野山では淡い紫色の小花がひっそりと咲き始めます。その花は、古くから日本人に愛されてきた秋の七草の一つ、フジバカマです。9月28日の誕生花でもあり、その控えめながらも美しい姿は、秋の訪れを静かに告げてくれます。フジバカマは、日本の山野に自生する野草です。夏が終わりに近づくと、すっと伸びた茎の先端に、小さな花を房状にたくさん咲かせます。花の色は、紫色を帯びた白や淡い紫色で、派手さはありませんが、どこか懐かしさを感じさせる優しい色合いです。そして、その花の周りには、かすかに甘い香りが漂い、秋の静けさの中に一層の風情を添えます。かつて、フジバカマは川の土手などに群生して咲く、ありふれた花でした。しかし、現在では環境の変化によって自生する姿を見ることは少なくなってしまい、絶滅危惧種に指定されている地域もあります。それでも、秋の訪れを感じさせてくれる花として、フジバカマは今も多くの人々に愛され続けています。庭先に咲くフジバカマの姿は、過ぎ去りゆく季節を惜しむかのように、私たちの心を穏やかに癒してくれるでしょう。