
春の使者、節分草:小さな花に宿る輝き
春の息吹がまだ遠い、寒さが残る早春。他の花々がまだ眠りから覚めないうちから、節分草は地面から顔をのぞかせます。その名の通り、節分の頃に花を咲かせることから、春の訪れをそっと告げる花として愛されてきました。地面からひょっこりと伸びた茎の先に、小さく白い花を咲かせる姿は、健気という言葉がぴったりです。多くの人が花びらと勘違いするのが、この白い部分。実はこれは萼片(がくへん)と呼ばれる部分で、本当の花びらは中心で黄色く輝いている部分です。この小さな黄色い花びらは、蜜を求めてやってくる虫たちにとって、春の訪れを告げる大切な食糧となります。可憐さと力強さを併せ持つその姿は、厳しい冬を乗り越え、再び巡ってきた春の喜びを静かに、そして力強く表現しているかのようです。