
ガマズミ:赤い実が彩る縁結びの象徴
日本の山野を彩る植物の中に、ガマズミがあります。秋になると、緑の葉の中に鮮やかな赤い実を房状にたわわに実らせ、その美しさは目を引きます。この赤い実は、厳しい冬を迎える鳥たちにとって貴重な栄養源となります。鳥たちは赤い実をついばみ、その代わりに種子を遠くへ運んでいきます。このように、ガマズミは鳥たちの力を借りて、次の世代へと命をつないでいるのです。ガマズミは古くから人々の生活にも深く関わってきました。その実は渋みがありますが、初霜が降りた後には甘みが増し、果実酒やジャムなどに加工されてきました。また、地方によっては「ヨソドメ」や「ゾウミズキ」など、親しみを込めて様々な呼び名で呼ばれています。自然と共存し、その恵みを活かしてきた昔の人々の知恵が、これらの呼び名には込められているのでしょう。鮮やかな赤い実と、素朴ながらも力強い生命力を持つガマズミは、日本の里山の風景に欠かせない存在と言えます。