9月28日の誕生花：フジバカマ

9月28日の誕生花：フジバカマ

秋の訪れを告げる花

秋の深まりが感じられる頃になると、野山では淡い紫色の小花がひっそりと咲き始めます。その花は、古くから日本人に愛されてきた秋の七草の一つ、フジバカマです。9月28日の誕生花でもあり、その控えめながらも美しい姿は、秋の訪れを静かに告げてくれます。

フジバカマは、日本の山野に自生する野草です。夏が終わりに近づくと、すっと伸びた茎の先端に、小さな花を房状にたくさん咲かせます。花の色は、紫色を帯びた白や淡い紫色で、派手さはありませんが、どこか懐かしさを感じさせる優しい色合いです。そして、その花の周りには、かすかに甘い香りが漂い、秋の静けさの中に一層の風情を添えます。

かつて、フジバカマは川の土手などに群生して咲く、ありふれた花でした。しかし、現在では環境の変化によって自生する姿を見ることは少なくなってしまい、絶滅危惧種に指定されている地域もあります。それでも、秋の訪れを感じさせてくれる花として、フジバカマは今も多くの人々に愛され続けています。庭先に咲くフジバカマの姿は、過ぎ去りゆく季節を惜しむかのように、私たちの心を穏やかに癒してくれるでしょう。

花言葉「ためらい」の由来

秋の七草の一つに数えられ、その優美な姿が愛されるフジバカマ。
フジバカマの花言葉は、「ためらい」や「遅れ」といった、どこか物悲しい響きを持っています。一体なぜこのような花言葉がつけられたのでしょうか？

その理由は、フジバカマの開花時期に隠されています。他の秋の七草たちが咲き誇る中、フジバカマはまるで夏の終わりを惜しむかのように、ゆっくりと花を開かせます。
他の花々に比べて遅い開花時期が、「ためらい」や「遅れ」といった花言葉に繋がったと言われています。

また、フジバカマは、その香りの特徴から「ためらい」を連想させたとも言われています。
昔の日本では、フジバカマの茎葉を乾燥させて、香料として利用していました。衣服や手紙に染み込ませたフジバカマの香りは、時間をかけてゆっくりと広がっていきます。
この香りの特徴が、「ためらい」や「遅延」といったイメージに結びついたという説もあるのです。

物悲しげな花言葉を持ちながらも、どこか人を惹きつける魅力を持つフジバカマ。
その奥ゆかしい姿は、私たちに秋の深まりを感じさせてくれます。

フジバカマの持つ奥ゆかしさ

– フジバカマの持つ奥ゆかしさ秋の七草の一つに数えられ、万葉の時代から愛されてきたフジバカマ。その花は、淡い紅紫色を帯びた小さな筒状の花が集まり、控えめながらも美しい姿をしています。フジバカマの魅力は、その見た目だけではありません。乾燥させると桜餅のような甘い香りが漂うことから、「香水蘭」や「蘭草」といった別名を持つことからもわかるように、その上品な香りもまた、多くの人を惹きつけてきました。フジバカマの花言葉は「ためらい」。これは、控えめで奥ゆかしい花の姿に由来すると言われています。「ためらい」という言葉には、消極的なイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、じっくりと考え、慎重に物事を進める思慮深さと捉えることもできるのではないでしょうか。現代社会は、常に時間に追われ、目まぐるしく変化していく忙しい時代です。そんな時代だからこそ、フジバカマの姿は、私たちに心のゆとりや静かに自分と向き合うことの大切さを教えてくれるのかもしれません。ゆっくりと時間をかけて物事を進めることで、見えてくるものもあるはずです。フジバカマは、派手さはないものの、その奥ゆかしい美しさと香り、そして花言葉が織りなす世界観で、私たちに大切なことを教えてくれる花なのです。