無花果

祝福

豊穣の象徴、無花果の花言葉

私たちにとって身近な果物であるイチジク。漢字で「無花果」と書くことから、花が咲かない果実と思われがちですが、実際には、私たちの目に触れることなく、実の中に小さな花を咲かせています。イチジクは、外側に見える部分が果実のように見えますが、これは花托と呼ばれる部分が肥大化したものです。花托は、本来は花を支える役割を持つ器官ですが、イチジクの場合、この花托が内側に窪み込み、その中に無数の小さな花を密かに咲かせます。私たちが普段口にしている部分は、果実ではなく、この花托と、その内部に隠された花々なのです。この特殊な構造を持つイチジクは、古くから人々の関心を集めてきました。エジプトでは紀元前2700年頃の壁画にイチジクが描かれていることから、当時から食用とされていたと考えられています。また、聖書にも登場し、アダムとイブがイチジクの葉で身を隠したという記述も残されています。このように、イチジクは馴染み深い果物でありながら、その生態には興味深い謎が秘められています。果実だと思って口にしていたものが、実は花を包み込む花托だったという事実は、私たちに自然界の奥深さを改めて認識させてくれます。